漆工芸品の修復例・1


今までに修理をさせていただきました、一部の修理例です。
できるだけ古色を残し、修理をどの程度まで施すかをご相談した上で修理いたします。


修理・修復は全て漆工芸に使われる漆材料と技法で行います。



重箱の蓋の塗りなおし修理です。   朱色などの色漆は、部分的に修理も可能です。色漆は

修理品の色の、80%位までの色あわせをします。 今回はひび割れも多かったので全面塗り直しをしました。
                
塗りなどは修理料金は状態によります。お見積りを致します。
色漆(いろうるし)とは。
透明な漆に、朱色や黄色等の顔料を混ぜ合わせて作った、色のついた漆のことです。

30年程前の若狭塗りのテーブルの修理です。  大きさは80cm×120cmほどです 

布巾で拭くと、漆の色が付いてしまう程、表面の輝きが弱っていました。 
所々、当たり傷もありました。
@ 修理前、輝きが消えて
色も青っぽくなっています。
                      A 磨きなおしているところです。


B 修理完成後です。
クリックで拡大します。

完成には3ヶ月ほどかかります。
脚はかなり痛んでいましたので、
全て塗りなおしました。

※テーブルの磨きなおしはサイズにより10万円〜致します。
                               

表面の拡大図

修理前の状態です
緑の色漆が変色して青色っぽく
なっています。
修理後です

白いのは照明です。
表面も丈夫になり、輝きが出ました。
漆を薄く塗り、本来の色に戻りました。


平蒔絵の三段箱の修理です。

全体に大小の打ち傷があり大き目のヒビもあります。
このような状態は一つ一つこだわると、古さが消えてしまうので、
大きめの傷や目立つヒビを中心に補修していきます。
そして最終的に軽く磨き直す事で、古さを残しつつ輝きがでます。

状態にもよるのですが、このケースは5万円でした
平蒔絵(ひらまきえ)とは
漆と金を使って模様を描く高度な技法の名前です。
他にも 高蒔絵(たかまきえ)、肉合蒔絵(ししあいまきえ)
などがあります。



@ひび割れの部分です。

A 修理途中です。
消えた模様は蒔絵で忠実に描き直します。

B 修理完成です



途中工程です。漆下地を付けています
角部分など、目立つ部分を直すだけでも
綺麗に蘇ります。
修理後です 蓋の修理後です。 赤丸で囲みました部色です。

漆を用いて、古い漆の色を出すのは至難の技で、修理箇所や状態により合わせにくい場合がありますが、補修することで傷は目立ちにくくなります。
また作品全体が美しく仕上がります。